前回に引き続き「心不全」をテーマに、今回は「心不全」に対する検査・診断、治療や予防について書いていきます。
前回: https://www.mihara-shiromachi-hp.or.jp/column/1284/
⇒心不全の概要や症状について紹介しています
検査・診断
前回コラムにて説明しましたが、心不全の原因となる病気は様々です。そのため、一般的な健康診断(胸部レントゲン&心電図検査)のみで心不全を見つけることは難しく、動悸(どうき)・息切れといった心不全特有の症状があるかの問診を丁寧に行いながら、様々な角度から検査を行って、複合的・総合的に判断します。
聴診:聴診器を使って心音や呼吸音などに雑音が無いかをチェックします。
胸部レントゲン検査:心臓が大きくなっていないか、肺に水が溜まっていないかなどをチェックします。
血液検査:心不全になると心臓だけでなく様々な臓器に負荷をかけるため、いくつかの項目で異常値が出るようになります。心臓への負荷を評価するBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)を中心に、肝臓や腎臓、甲状腺機能等に対する項目の検査を行います。
心臓超音波(心エコー)検査:心臓の動きや形、心臓の弁などに異常が無いかチェックします。
心電図検査、心臓CT検査、心臓カテーテル検査など:心不全の原因となる心臓病(不整脈や心筋梗塞等)が無いかをチェックします。
心不全の治療
心不全治療の目標は、症状を軽減させ生活の質(QOL)を上げることと、心不全の進行や原因となる病気の発症を抑え健康寿命を延ばすことです。その治療のメインは薬物治療で、その2つの目標に適した薬を処方していきます。
ここで大切なのが、医師が指示した用法・容量を守って継続的に内服し続けることです。管理がうまくいかず、症状が一気に悪化してしまう方が多いのも事実です。そうならないよう、ご家族や介護サービスのケア・サポートも大切です。また、心不全以外のお薬で、ドラッグストアなどでも容易に手に入るお薬(例えば鎮痛剤や炎症を抑えるお薬)が心不全を悪化させることがあります。心不全以外に対するお薬が欲しいとなった際は、ご自身だけで判断されるのではなく、店舗の薬剤師さんや、かかりつけ医にご相談ください。
合わせて、高血圧や糖尿病などの生活習慣病も大きく心不全に関わってくることから、生活・食事指導なども行っていきます。
ほか、心不全の原因となっている病気に対する根本的な治療、例えば冠動脈の病気に対するカテーテル治療や、脈が遅くなる病気に対するペースメーカーを植え込む治療などを実施することもあり、当院でも多くの実施例があります。
心不全の予防
これについては、様々なところで同じようなことを聞くかと思いますが、兎にも角にも食事・生活習慣に気を付けていくことです。
・バランスの良い食事、とくに塩分の摂り過ぎに注意
・水分のとりすぎにも注意
・適度な運動
・適度なお酒、禁煙
また、前回も述べましたが健康診断など定期的な検査も大切です。
さいごに
心不全はもはやありふれた病気ですが、きちんと診断されていない方も少なくありません。完治することはない進行性の怖い病気ですが、早期にしっかりと評価し、早期から適切な治療を行うことで、長く元気に生活=健康寿命を延ばすことができます。気になる症状などがありましたら、お気軽にご相談ください。
[当院の循環器内科について]
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