お酒と肝臓のお話
飲み会が続く・・・
とは例年の話。
私もこの時期は忘年会にお正月、新年会と、例年であれば夜な夜な身体を酷使する日々が続いていました。
本年はコロナ禍ゆえ、 そのような場は一切無いという方も多いでしょうが、それでも何かと飲む機会が多くなる年末年始。また、コロナ禍でのストレスや在宅に居る時間が増え、お酒の量が増えたという方も多いと思います。
良く聞くかと存じますが、お酒=アルコールは肝臓に大きな負担をかけることとなります。アルコール性の肝障害を起こす方は多く、生活習慣病の中でも肝臓病は、がん、心臓病、脳卒中に続いて死因の第4位を占めています。
肝臓の役割とは?
ヒトが24時間元気に生きるために、この一つの臓器の中では様々な化学反応が昼夜休むことなく行われており、「人体の化学工場」とも言われています。食べ物から得た栄養を分解、貯蓄したり、そしてアルコールやお薬などのヒトにとっては”毒”となるものを解毒することが肝臓の仕事です(もちろん他にもイロイロやってます)。
そのような昼夜休むことなく働き続けるブラック企業の権化とも言える肝臓に、追い打ちをかけるように、日々処理しきれないほどの「解毒作業」を追加発注し続けたらどうなるでしょう・・・
壊れていく肝臓
お酒を飲んだ後、体内ではアルコールを分解しようとします。その時に人体にとって”毒”となる「アセトアルデヒド」が発生します。この”毒”を無害な水や二酸化炭素に分解=解毒するのが肝臓のお仕事です。大量のアルコール摂取や、継続的な摂取により、肝臓が疲労困憊となって処理機能を超えてしまうと「アセトアルデヒド」を分解しきれなくなることに。
ちなみに、この「アセトアルデヒド」は脳も刺激し、お酒を飲んだ時の感情の変化、そして歩行困難となったり、意識混濁となったり、といったことにも影響します。
そして、分解されず残った”毒”により肝臓は攻撃され、肝臓の細胞は変性や壊死を引き起こし、機能はだんだんと低下していきます。壊れた細胞はお酒をしばらく断てばある程度再生はされますが、継続的に摂取し続け、再生できずに変性・壊死が進んでしまうと『肝硬変』になり、さらに放置していると『肝不全』や『肝がん』にもなることとなります。
画像元(https://youtu.be/l-SBR7p7K-M)
沈黙の臓器~定期的な検査を
肝臓は「沈黙の臓器」と言われるように、なかなか症状が現れないのが特徴で、症状が出てからでは末期状態であることが非常に多いです。
お酒を飲む機会・量が多い方は、定期的に受診し、血液検査やエコーなどの画像検査を受けてください。
お酒と上手に付き合って
なかなか難しい話ですが、
肝臓に負担をかけすぎないような、健康的な飲み方をするよう心掛けてください。
★飲みすぎない
★ゆっくり飲む
★おつまみや、補助飲料を上手にとる
★肝臓を休ませる=休肝日を作る(2日間以上がbetter)
こういったことが大切です。
また、消化器内科分野で言うと、肝臓だけでなく、食道、胃、すい臓などで、アルコールによって影響を受けた症例を良く見ます。
このようにイロイロな臓器を攻撃してしまうお酒。
上手に付き合いながら、良いお年をお迎えください!
監修:消化器内科/松本栄治