どんな病気?~患者数は1,000万人以上
下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)とは、読んで字のごとく、“下肢”=足、特にふくらはぎの、“静脈”=血管に、“瘤”=訓読みすると『コブ』が出来る病気です。
重力に逆らいながら心臓へと血液を送っている静脈には、逆流を防ぐための弁が付いています。この弁が何らかの負担により、壊れたり働きが悪くなり、血液が逆流し静脈にたまることによって起きます。
成人の約10人に1人、患者数は1,000万人以上がかかっているとされる非常に身近な病気で、特に出産経験のある成人女性の約2人に1人が発症する病気です。ただし、命の危険がある悪性の病気ではなく進行は非常にゆっくりで、その治療の目的も症状により引き起こされる生活の質(QOL)低下を改善させるために行うものです。
足のむくみ・だるさが発症のサイン!?
下肢静脈瘤で最も多い症状は、ふくらはぎの血管がモコモコッと『コブ』のように膨らんだり、足の細い血管が増え蜘蛛の巣のようになるというものです。
また、見た目以外にも多彩な症状を合併し日常生活に悪影響を及ぼします。
マッサージなどに行ってもなかなか改善しないむくみやだるさがあったり、これらの症状が強い場合は下肢静脈瘤を疑い、一度診察を受けられることをお勧めします。
また、放置して進行が進んでしまうと、皮膚がカチカチに固まったり、さらには皮膚がはがれ潰瘍を起こしてしまうこともあります。
下肢静脈瘤の治療~最新の保険適応治療を開始
下肢静脈瘤に対する治療は主に「圧迫療法」と「手術」があります。
「圧迫療法」は専用の弾性ストッキングを活用し、下肢静脈の流れを改善させるものです。が、根本的治療にはなりません。
根本的な治療にはやはり「手術」が必要となります。ただ、「手術」といっても、当院ではカラダに負担の少ない低侵襲手術を実施しており、手術した当日に日常生活に戻ることが可能です。
当院で実施している主な「手術」は以下の通りです。
■下肢静脈瘤血管内焼灼術(高周波カテーテル治療)
症状元の静脈を高周波カテーテルで焼いて閉塞させ逆流を無くしてしまう治療法。
■下肢静脈瘤血管内塞栓術(グルー治療)
症状元の静脈に医療用の瞬間接着剤(グルー)を注入して閉塞させ逆流を無くしてしまう治療法。詳細は当院HPの心臓血管外科ページ:https://www.mihara-shiromachi-hp.or.jp/department/cardiovascular-surgery/をご参照ください。
特に2つ目の“グルー治療”は、2019年12月に保険適応となった比較的新しい治療法で、従来行われていたレーザー手術よりさらに低侵襲(=より痛みが少ない、麻酔も少ない、治療後のケアも少ない、合併症も少ない)で、治療後すぐに運動をすることも出来ます。
個々に合わせた治療を
非常に多くの方がかかる下肢静脈瘤。その症状や進行具合は人それぞれです。
患者さん個々に合わせて、できるだけ負担が少なく、かつ治療後満足いただける治療を提案させていただきます。
監修:心臓血管外科/土肥俊一郎
<認定医/専門医>
・下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術の実施基準による指導医
・日本脈管学会専門医
・日本循環器学会専門医
・日本血管外科学会認定血管内治療医
・日本外科学会専門医
・日本フットケア・足病医学会認定フットケア指導士