過度な受診控えは健康上のリスクを高める!?
世間では新型コロナウイルス感染症への懸念から医療機関への受診や健診・検診控えが続いていると言われています。現実として、多くの医療機関で外来患者さんは例年と比べると減少しており、大きな病院ともなると数百人単位で減少している事もある様です。
それらのニュースが出るたびに、「不要な受診が減っただけ」「コンビニ受診が無くなって良かった」「そのおかげで医療費が減っている」といったコメントが散見されます。
そういった側面も一部あるかもしれませんが、一方では『進行したがんが見つかった』『手遅れだった』といったケースも出て来ている様です(保険医協会等で実施されたアンケートでその内容を確認することができます)。
先日Webで参加したセミナーの中でも、とある病院の事業責任者から「患者さんは少ない状況が続いているが、発見や治療が遅れた進行がんに対する侵襲性の高い(全身麻酔を使っての手術や、強い化学療法が必要となる等)症例については、ここにきて急に多くなり、例年より多い水準にある。」といった話もありました。
もちろん、これらを受診控えや検診控えと直接的に結びつける事は出来ませんが、定期的な受診や健診を過度に恐れる事は、健康上のリスクを上げてしまう可能性があります。” 不要不急”ではなく、” 必要急”な受診もあるという事はご理解頂けるかと思います。
また、定期的に飲んでいるお薬やリハビリなどの治療を自己判断で止めてしまうと、その疾患の症状が悪化し、新型コロナウイルス感染症などのウイルスに対する抵抗力が低い状態になってしまうことがあります。
何らか持病をお持ちの方は、かかりつけ医に相談する、健診や検診は予定通り受けるなどしながら、持病をコントロールし適切に健康を管理していきましょう。
ちなみに私は、歯医者さんへの通院を止めていた結果、病状が進行し神経まで達する治療をする羽目になってしまいました。泣く程痛かったです・・・
予防接種などの健康管理も重要!
お子さんの予防接種も“必要急”なものです。予防接種は月齢・年齢で罹りやすい疾患や対策すべき疾患を予防するべくスケジュールが組まれています。そのタイミングが大きく遅れたりすると、免疫が付くのが遅れ、重い感染症になるリスクが高まります。
高齢者における肺炎球菌ワクチンなども同様です。
さらにお子さんの健診では、健康状態や栄養状態、成長や発達、先天性疾患の有無などを総合的に診ており、特に先天性疾患については発見するタイミングを逸してしまうと、治療・治癒が大変になり、将来にわたるリスクが高まることとなってしまいます。
また定期健診は、医師や保健師さんにいろいろなことが相談できる良い機会です。育児で悩んでいることや分からないことは遠慮せず何でも聞きましょう。
医療機関は感染予防に注力しています
当院では、消毒や換気、職員の行動・健康管理、発熱症状のある患者さんの動線や時間帯を分けた診療等々、感染防止対策を徹底して行っています。またほとんどの医療機関でも同様の取り組みを行っていると思われます。
当院では”医療を通して安心を提供する”という理念を実現するため、また二次救急医療機関として地域を支える役割を果たすため、引き続き感染対策の強化に取り組み、皆さまに安心して受診して頂けるよう尽力して参ります。
まだまだ制限のある生活が続きますが、ご自身の健康を守るために”必要急”な病院受診を心がけてください。
著:事務長/梅野圭史