2021年も早いもので10月、残り3ヶ月となりました。秋の気配がますます深まるこの時期になると始まるのが、インフルエンザの予防接種です。
本年度も昨年度同様、コロナ禍の中でインフルエンザ流行期を迎えることとなりますが、世間の接種に対するムードは昨年度と大きく異なっているようです。
そこで今回は、本年度のインフルエンザ予防接種に対する考え方について書いていきます。
尚、当院の本年度のインフルエンザ予防接種の実施概要については
⇒https://www.mihara-shiromachi-hp.or.jp/info/1530/
※2021年度のインフルエンザ予防接種は終了しました
インフルエンザ予防接種の一般的な概要・有用性等については昨年書いた記事
⇒https://www.mihara-shiromachi-hp.or.jp/column/1266/
をご参照ください。
本年度もインフルエンザワクチンの積極的な接種を推奨
昨年度は、コロナとインフルエンザの同時流行に対する危機感が極めて高かったこと、年齢など、一部条件によって多くの方が無料で接種できたこと等により、接種率は例年以上に高いものとなりました。そういった中、幸いなことにインフルエンザウイルスの検出報告はほとんどなく(当院でも2例のみ)、心配されていた同時流行はみられませんでした。これは、コロナ対策として普及した手指衛生やマスク着用、三密回避、国際的な人の移動の制限等の感染対策がインフルエンザの感染予防についても効果的であったと考えられます。
対し、本年度は一部補助はあるものの、ほとんどの方が有料となったことや、上記の通り流行が見られなかったことによる危機感の低下、さらにはコロナワクチン接種に対する負担・ストレス等からか、申込数は例年と比べても減少しています。
Q:では本シーズン、インフルエンザの流行はどうなるでしょうか?
A:分かりません!
というのが正直なところ。
諸外国、特に季節が真逆の南半球の状況を参考にすることが良くありますが、本年度も昨年度同様、インフルエンザ確定患者数は極めて少数。ただ、インドやバングラデシュ等、アジアの亜熱帯地域においては様相が異なり、流行が認められる地域もあるとのこと。
ヒトの移動が少しずつ活発化している現状においては、その地域で保存されていたウイルスが瞬く間に拡散される可能性があります。
また前シーズン、インフルエンザにかかった人は極めて少数であったため、社会全体の集団免疫が形成されていないと考えられます。そのような状況下で、海外からウイルスが持ち込まれれば大きな流行を起こす可能性もあります。
といったことから、日本感染症学会は今シーズンもインフルエンザワクチンの積極的な接種を推奨しています。
ウイルスの流行というのは不確実性が高いものになりますが、未来的に自分自身、そして周りの人達を守るために、さらにはコロナ禍にあっては医療現場の負担を軽減するために、予防できる疾患については可及的に接種を行うことが重要です。
ワクチンの供給状況と接種時期について
地域によっては、ワクチンの供給の目途が立たず接種時期を後ろ倒しに、という話がありますが、当院は概ね例年通りの量が供給されておりますので、接種されたい時にお申込みいただければと思います。
接種時期については、流行前の12月前までに接種されることをおすすめします。
また、コロナワクチンを接種された方は、2回目接種後、2週間以上間隔を空けて接種するようにしてください。
さてさて、今年度の冬はどうなるでしょうかね?
今のまま、コロナ感染状況が落ち着き、インフルも広がらず、行動制限が緩やかなままで居てくれることを願うばかりです・・・
感染対策委員会