骨粗鬆症について①~あなたの骨は元気ですか?
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とは
骨は、1型コラーゲンを主体としたタンパク(骨基質)とリンやカルシウムを主体とした骨塩から構成されます。骨を鉄筋コンクリートの建物に例えると、骨基質が鉄骨に、骨塩が鉄骨周囲を固めるセメントに相当し、そのどちらに問題が生じても丈夫な骨はできません。骨は、破骨細胞が古い骨を溶かし吸収し、骨芽(造骨)細胞が新しい骨を作ることを絶えず行っていて骨を良い状態に維持しています。
(日本内分泌学会HP:http://www.j-endo.jp/を参照)
骨粗鬆症は、加齢とともにこの破骨-造骨(代謝)バランスが崩れ、骨がもろく折れやすくなった状態のことです。初期の段階では痛みなどの自覚症状が現れにくく、進行してから気付くことも。
放置すると背中が曲がるなどして日常生活に支障が出るほか、つまずいて手をついた、転んだ、少し重い物を持った、くしゃみをしたなどの、ちょっとした衝撃で骨折してしまうことがあり、激しい痛みはもちろんのこと、骨折した部位によっては寝たきりになり、食事量も減り、筋肉の減少(サルコペニア)、栄養障害のため床ずれや誤嚥性肺炎を併発して、死亡リスクが一気に高くなることもあります。
日本における潜在的な骨粗鬆症患者数は、ガイドラインによると1,280万人にのぼり、うち980万人が女性と推計されています。上図は、年代別有病率を示した図ですが、50代以降、女性が圧倒的に多くなることが分かります。これは閉経により、生殖器官を発育・維持させ、女性らしさを演出するだけでなく、骨の健康を維持する作用を持つ女性ホルモン(エストロゲン)が激減するためです。閉経後の方は、骨粗鬆症発症のハイリスク群と言えます。
早期発見、早期治療が大切
どんな病気でも言われるコトですが、やはり早期から、また定期的に骨の状態を確認することが大切です。早期に骨粗鬆症を発見することができれば、進行する前に治療を開始し骨折リスクを大きく下げることができます。また、若ければ若いほど骨の代謝が活発なため、治療成果も高くなります。
上述した通り、自覚症状が出にくいこともあるため、定期的に、特に閉経後の女性は1年以内に一度検査し、その後は2~3年に1回は検査するようにしましょう。
また、早期発見する上で知って頂きたいのが、身長の低下や丸まった背中。加齢に伴って必然的になるものと思われがちですが、前述の骨粗鬆症の進行よる「圧迫骨折」が原因の場合があります。身長や姿勢の変化が気になってきましたら、医療機関を受診するようにしましょう。
少し長くなってきましたので、今回はここまで。
次回は骨粗鬆症の検査や予防についてご紹介します♪
著:事務部/T
監修:整形外科/原 清吾(骨粗鬆症学会認定医、脊椎脊髄外科指導医ほか)